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地域の中継点に!Uターンで地元商店から町を盛り上げる!

日高川町役場美山支所のすぐそばにある「今西商店」。100年近く前から地元の人に愛されている商店です。Uターンし、実家である今西商店の事業承継準備をしている今西廣典さん(写真右)。町内の多くのイベントの参加や企画など、精力的に地域活動をされています。Uターンのきっかけや現在の活動、今後のビジョンなどをお聞きしました!

Uターンするだけでも地元に貢献できる

ー今西さんはUターンされたんですよね?

今西:そうです。高校を卒業して神戸の専門学校に進学しました。当時は、目的とか全然なくて。とにかく都会に出れたらいいな、くらいに思ってましたね。

ー日高川町にUターンしたきっかけは?

今西:きっかけは2011年の紀伊半島大水害でしたね。店が浸かっちゃって冷蔵庫とかもだいぶあかんようになって。荷物とかも散乱してた状況でした。

商店の店内の様子
現在の店内の様子

今西:週末に復興を手伝ってるうちに、本当に周りに若い人がいないんだ、って実感して危機感を覚えたのがきっかけとしては大きかったかな。

当時、うちの両親は60代前半だったけど周りから「まだ若いんやから」って言われたし。

ちょうど長く勤めた飲食店を辞めて、動きやすい時期やったんで。「これ、帰ってこいっていう意味なんかな?」って思った。

ー昔から家業を継ぎたい、とか地元が好き、というタイプではなかった?

今西:そうっすね。どちらかというとイヤで田舎を出たようなタイプ(笑)。

でも、帰ってくるようになってからは、都会で目的を持たずに生活するよりもUターンして、少しでも地域の役に立てばいいかな、って思うようになった。

店内には懐かしいデザインの商品も置いてある

ー商店を盛り上げたいと思って戻ってきた?

今西:いや、今思い返すとそんな明確なイメージはなかったですね。ふつうに住んで、住民税を納めるだけでも充分じゃないか、って。それくらいの感覚。

地元に住めば、田舎に対して危機感を持っている状況からは一歩でも前に進んで、なにか役に立てるんじゃないかって。ほんまにそれだけ。

神戸にずっとおったら、無目的で過ごしそうだと思ったからなのかも(笑)。

求められることに柔軟に対応していく

ーさまざまな活動をされている中で、意識されていることはありますか?

今西:うちの良さはフットワークの軽さだと思ってるんです。売りになる商品はあんまりないけど。その分、自分がどんな役割を求められているのかを意識して柔軟に対応しています。

外から見ると、「色んなことしてるな〜」って見えると思うんですけど。自分の中ではフットワーク軽く柔軟に対応するという意味では一貫してるつもりなんです。

カレーやお惣菜は町内だけでなく、町外の方からも人気が高い

ー得意不得意が分かっているから柔軟に対応できるのでしょうね。昔から自分の得意や好きが分かっていた方ですか?

今西:無かったと思いますよ。神戸に出た当時は、田舎者のコンプレックスの塊でしたからね。

神戸で飲食業に就職したのも、なんとなく流れの中で選んだのは覚えてますね。それでも、飲食業は人と話すのがめっちゃ面白かった。

周りにすごくいい友人がたくさんいてるのが本当にありがたくて。すごく恵まれてるなって思ってます。

地域の中継点となる場所を目指して

ー3年後くらいの活動のイメージは何か持たれているんですか?

今西:3年後、この地域は色々と変わってるんやろうなって思ってるんです。その中でこの店はコミュニケーションのハブというか、中継点になりたい

40年前に商店が賑わっていた頃の「買い物」という目的は、数年後には他の会社が担えると思いますし。

じゃあ、うちはどの役割を担っていくんだろう?って考えた時、ハブの存在としてお店を機能させたいと思いました。

その意義づくりとして、まずは「地域のお台所」としてお弁当や惣菜の販売を開始しました。次に空間づくりとしては、商店の中にコミュニティスペースを作りました。

新設したコミュニティスペース

今西:40年前の商店は、みんなが出会う場だった。目的は買い物だけど、それ以外に誰かと話したりする、コミュニケーションの場としてすごく賑わっていた。

今は、世代間のギャップがありすぎて縦のコミュニケーションを取るのが難しい。

人口が減って、お隣さんとの物理的な距離もあるから、横のコミュニケーションも難しい。

移住者が来ても、元々の価値観が違うので、コミュニケーションが成立しづらいんですよね。

地元の子どもたちと一緒に作った家具などもたくさん置いてある

ーコミュニティスペースを作ったことで滞在する人は増えた?

今西:まだ少ないですね。でも「今西商店の雰囲気が変わったな」って話題になったり、発信することができてるから。それでいいかな、って思ってます。

いきなりバーン!と変わってもね(笑)。

インバウンド向けにレンタサイクルも準備中

ー馴染みの空間を大切にしつつ、新しいものを少しずつ取り入れていく、っていいですね!色々とチャレンジもしていきたい?

今西:そうですね。でもまずは、今を継続することが大事だと思ってるんです。真新しいものもいいけど、持続できないし、周りの人が置いてきぼりになりやすい。

持続した10年間の中で、不足してる部分に僕がはまって次につなげていく。そんなイメージかな。

もっと地元の人に帰ってきてほしい

ー今後、日高川町に移住する方へメッセージはありますか?

今西:そうですね、もちろん移住者にも来ていただきたいですが、 ぜひ地元の人にも帰ってきてほしいっていう気持ちは強いですね。

Uターンすると、高齢者が喜ぶし、安心してくれる。Uターン組が移住者と地元の方との認識のギャップを埋めたりと、いろんな良い循環が生まれるんだろうなって。

この土地に生まれて、夢や目標を持って地元を出た人たち帰ってきたくなるような地域作りをしたいですね。

食品ロスを減らすための商品も。

ー今西さんの活動を見て、「自分も戻ってみようかな?」って思ってもらえたらいいですよね。

今西:それは最高ですね。生計の面では「どうやって生活せなあかんねん!」って大変だとは思いますけど(笑)。

目標は、僕が商店を継いでビジネスとして成立させることによって、Uターンしたい人たちが「なんか自分でもできそうやな」って思うことですね。

ーいいですね!今後の活動も楽しみにしています!

プロフィール

今西廣典(いまにしひろのり)さん

日高川町美山地区で生まれ育つ。高校卒業後、神戸市に進学。卒業後は神戸市の飲食店で勤務。2011年の紀伊半島大水害をきっかけに2012年Uターン。2022年頃より、ご実家である今西商店の事業を引き継ぐ準備の傍ら、イベントの企画など積極的に地域活動をされている。

ABOUT US
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佐藤 礼(さとうあや)インタビュアー
岩手県奥州市出身。2021年2月に日高川町へ単身移住。移住後に自身が感じた日高川町や田舎暮らしの良さを伝えたい!とインタビュアーとして活動中。ライター、看護師、農業、SNS運用などパラレルワーカーとして人生を楽しんでいる。 インタビューのご依頼等はコチラから。